「受賞」石渡祥子さん(学部3年生)が日本化学会中国四国支部長賞を受賞
卒業論文タイトル:
ホフマイスター系列に基づくイオン性ポリシロキサンのカウンターアニオンの特性評価
概要:
柔軟な素材として知られるポリシロキサン(シリコーン)は疎水性、光透過性、耐薬品性等様々な特性に優れることから工業的に広く利用され、現代でも幅広い分野で活用されている。
私が所属する研究室では、この疎水的な素材であるポリシロキサンを水溶性に変成させることで見いだされる新奇機能について研究を行っている。卒業研究では、ポリシロキサンに導入するイオン基の種類を塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンと系列的に変化させたときに見られる特性の変化についてホフマイスター系列に基づき評価を行った。それぞれのポリシロキサンをPoly-Cl、Poly-Br、Poly-Iと表記する。
その結果、吸湿量は大きい順にPoly-Cl > Poly-Br > Poly-Iであった。これらの結果をホフマイスター系列に基づき考察すると、イオン半径の小さな塩化物イオンほど、イオン基の周りで水素結合のネットワークが秩序化されるために吸湿量が大きくなったと考えられる。一方でイオン半径の大きなヨウ化物イオンでは水素結合のネットワークが無秩序化されるために他の2種類のポリシロキサンに比べて吸湿量が小さくなったと考えられる。また、示差走査熱量(DSC)測定、X線散乱(SAXS)測定より、吸湿によって熱安定性が増大することや、リオトロピック液晶性を示すことが明らかとなった。
?石渡さんのコメント:
このような賞をいただくことができ、大変光栄です。原光生先生をはじめ、研究に関しご教授をいただきました方、学生生活を支えてくださいました方に心より感謝を申し上げます。私は高校生の時に感じた「高分子は面白い」ということから、大学では高分子について学びを深め、研究することに決めました。自分のやりたいこと、大事にしたいことを貫くことは難しい時もありますが、意思を持って行動することの大切さを実感した学生生活でした。
香川大学創造工学部創造工学科材料物質科学コース3年生 いしわたりしょうこ
※ 卒業論文の内容が学会で認められて受賞しました。
※ 石渡さんは優秀さが認められ、3年生で学部を早期卒業しました。
卒業論文指導教員:原 光生 准教授
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