平成20年度協定校訪問(藤田彩絵/安全システム建設工学科2年)
私はこの企画に参加しようと考えた当初、学校の修学旅行にいくような安心感を持って参加しました。しかし、実際は航空券、ホテルや移動手段などすべて自分で計画しなければならないということで大変驚きました。海外で現地集合、現地解散はもちろん海外旅行すら人生で2回目だったため、不安でいっぱいでした。
旅行をプランニングするということは簡単なことではありませんでした。この企画のあった9月というのは旅行しやすい気候でもあるためか、航空券やホテルなどなかなか手配できないなど計画が進まないことがたくさんありました。そのため、夏休みは学校に通うように旅行会社に通うことになりました。
旅行のためには「もしも」のことがあったときのために下調べが大事ということで、今まで知らなかったようなことを知る良い機会になりました。たとえばフランスなどの気候や交通手段、駅の名前の由来、経済のレートの動きなど参加し自分で調べる作業をしなければ知りもしなかったことばかりでした。
集合場所はジュネーブでした。安全システム建設工学科で建築の勉強をしており、「設計製図」という授業で習った「ル?コルビュジェの母の家」を観にいくことにしました。レマン湖という美しく広い湖の畔に建つ「湖畔の家(母の家)」。たまたま、私たちは特別に中を見せてもらえることになり、授業で教えていただいた解説を思い出しながら見学しました。
1923年から24年に建てられた建物と思えないほど現代的な建物でした。当時の建物の窓の形が縦長だったのに対し、横長の窓「リボンウィンドウ」がとられています。これはコンクリートという材料が生まれたことによって可能になった設計で、その性質を生かして作られた画期的で新しい住宅だったようです。湖のほとりという場所に適した場所の窓、庭や屋上など勉強になるものばかりで感動しました。
人から聞いたり、写真でみたりして知っているつもりでいても、本物は思っているよりも広く、美しいと感じました。
CERNでは、いままで考えもしなかった規模の装置が張り巡らされていました。この企画以前の説明で私はまったく理解できていませんでした。そのため、CERNの担当の方のプレゼンテーションを聞き、工場や設備を見せてもらうことで、はじめて十数kmなどという大規模な設備であることを知りました。
NESTLEはチョコレート工場ということで、最初から楽しみにしていました。工場に着くと、室内に入る前からほのかにチョコレートの香りがしていました。NESTLEの歴史をたどったようなショートムービーや金型の展示、係員によるチョコレートの製造工程の説明、また、壁や床いたるところに映写された映像にはチョコレートの各製造過程が写されていて、小学生の遠足のような気持ちになりました。待ちに待った試食では想像以上に多い種類のチョコレートに目移りし、甘いチョコレートを食べるには限界があるのが残念でした。
この日のホテルまでの帰りのバスで時間が延長してしまい、運転手さんにチップをみんなで出すことになりました。運転手さんはとてもよろこんでくれたらしく、チップの大切さを実感しました。
いよいよPolitech’Savoieを訪問しました。まず、シャンベリーキャンパスを見学しました。このキャンパスは土木、建築などを研究しているところで楽しみにしていました。キャンパス内の建物は木造のところもあり、イメージと違い驚きました。しかし、今回の企画で安全システム工学科の学生が多かったために行くことになったキャンパスだったためか、見学の時間は短く、少し残念でした。
次にアヌシーキャンパスに移りました。電光掲示板に写真のような表示で私たちを迎えてくれました。
各研究室を見学しその説明を受けました。物質の成分をはかる機械も何種類もあったり、はかった物質の中身をパソコンの画面上で映像にしたり、携帯電話のようなものでパソコンを遠隔で操作したりと最新の工学技術にふれられた気がしましたが、専門的過ぎる上、英語であるため理解できないことが多く、引率の先生に頼ってばかりでした。
その午後、交流会ということで夕食のときにボーリングに行きました。学生、先生、サボアの学生みんなで楽しい時間を過ごしました。今までの訪問では聞くばかりで、ろくに返事や質問も出来ず交流していなかったので、ぜひ仲良くなろうと思いました。サボアの学生だけでなく先生とも楽しくゲームが出来ました。一緒にはしゃいだり楽しんだりとコミュニケーションをとることは簡単で、冗談は同じように伝わることがうれしく驚きました。しかし、会話をしようと思っても、なかなか言葉が出てこず、難しいと感じました。写真は最後にチームのみんなで撮ったもので、とても楽しかったです。
次の日はSNRというベアリングの会社を見学しました。入るときにパスポートを提出するなど厳戒な受付に驚きました。工場の中では、ベアリングの耐久試験をさまざまな方法で行っていました。塩、水、泥、どれも金属の機器には敵のようなものに耐えられるように改良されているそうで、知らないところでいろんな技術が進歩しているのだと感じました。そして、その技術は私たちの生活の身近なところに使われていると知りました。たとえば車には無数のベアリングが使われていたり、私がジュネーブまで来るのに乗ったTGVという列車にも使われていたりするそうです。また、説明してくれた女性がお気に入りだといっていたベアリングは20年間開発されスペースシャトルに使われるため、10秒で使い終わるそうで、とてもはかないと思いました。
次の日は、自由行動で松島先生、西岡さん、伊丹先生と一緒にアヌシー旧市街地の観光をしました。先生に町並みや建物の構造などレクチャーつきの観光は大変勉強になりました。アヌシー城をはじめパレ?ド?リルという牢獄、旧市街地を見て回りました。西洋は石造りで日本は木造であると考えがちですが、フランスの建物も石を積んだ上に漆喰を使っていたり、中からみると天井や床は木造だったりと日本の建築とさほど変わらないと知りました。また、ものの見方も教わりました。たとえば窓はどうなっているのか、道の石畳の敷き方や水はけの溝のようすなど、ポイントを絞って比べることでわかってくることがあるそうです。
本物をじかに見るということは、写真やテレビで見たり人から聞いたりしたこととは違うのだと感じました。「百聞は一見にしかず」という言葉そのものだと思います。日本もフランスも建築材料は変わらないのに町並みや雰囲気が全然違うのは「統一感」が最も大きい原因だと思いました。昔の建物を大切にしたり、通行人が見えるように花を飾ったりと文化の違いもあるとおもいました。また、アヌシーの場合、川や湖などとても水がきれいで香川もこうなればよいのにと思いました。また、コミュニケーションはジェスチャーには限界があり、やはり語学力が大切だと痛感しました。今回の企画に参加して、自分で行動してみないとわからないこと気づかないことがたくさんあることを知りました。