2012年05月25日
香川大学工学部材料創造工学科の須崎嘉文教授らの共同研究グループが光ファイバーFBG(ファイバーブラッググレーティング)を用いて開発した香川発のひずみセンサーが、東京ゲートブリッジのモニタリングシステムとして設置されました。
FBGとは、光ファイバーのコアに紫外レーザー光を照射することによって、わずかな屈折率上昇を起こさせ、特定波長の光信号を反射するための回折格子を作製したものです。設置した部材のひずみによってFBGが伸縮すると、反射する波長が変化するため、ひずみ?振動?温度などが測定できるデバイスです。
東京ゲートブリッジでは、今年2月に開通して以来、橋梁中央部路面下のトラス部材14か所をセンシングしています。常時、微細なひずみ?振動を測定し、記録することで、構造部材の疲労具合を正確に把握することができます。また、地震などの災害時においても部材に加わったひずみの記録が残るため、すぐにその影響を調査?検討することで通行の可?不可の判断ができ、また、その後の復旧作業についても迅速に開始できます。このような常時測定はヘルスモニタリングと呼ばれ、光ファイバーセンサーが自然界の電磁ノイズの影響を受けにくい利点から可能になります。
研究グループは2000年、香川大学工学部と香川高専、伸興電線で結成し、ひずみセンサーへの応用は2002年ころ確立しました。さらに、1つの装置で、100以上の異なる波長のFBGを製造できる方法を2004年に世界で初めて開発して、低コスト化を実現しました。このセンサーは、埋立て部と桟橋部からなる羽田空港D滑走路にも、2010年10月の運用開始当初から設置され、滑走路の沈下量やひずみなどのヘルスモニタリングに利用されています。以上の現地施工は、NTTインフラネットが行いました。
グループ代表の須崎嘉文教授は「橋や滑走路は、車や飛行機、地震の揺れなどの力を受けるとひずむ。地震が頻発するなか、大型構造物のヘルスモニタリングはますます重要になり、我々のセンサーが広く利用される日も近いのではないか。」と期待しています。
(平成24年5月2日毎日新聞18面、平成24年5月9日朝日新聞29面、平成24年5月23日四国新聞6面に記事が掲載されました。)
開発した振動加速度センサー
東京ゲートブリッジのヘルスモニタリング(赤い印がセンサー設置場所)
光ファイバーFBGの反射信号(40チャンネル)