アメリカ同時多発テロや新潟中越地震の際、企業や地域組織の被災により企業の根幹を担う事業が停止に追い込まれ、知的財産の損失や事業停止に伴う利益の損失、顧客や取引先の信用の低下する事態が多発しました。
このような背景から、企業や組織において、個々の事業形態や事業特性、地域特性を踏まえた上で、企業存続の生命線である事業を「継続」させるために策定する「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」や、その運用から見直しを行うための「事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)」の重要性が認識され、 BCPを策定する企業が増加しました。
しかし、平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、BCPが未策定であった地方の行政機関や大学等の教育機関、病院や福祉施設等の公的機関において、事業継続が困難になる事態に陥りました。さらに、BCPを策定していた企業でさえBCPが有効に機能しなかった事例が数多く報告されています。
また、BCPの策定には組織内の横断的な参加が必要となり、重要業務に関わるほぼ全員の参加が必要不可欠です。さらに、策定すべき項目も多岐にわたるため、策定に要する時間や作業量、策定に必要な知識も膨大になるといった多くの問題があります。
以上のことを踏まえ、本研究では、これまでBCPに関する知識やノウハウの蓄積がほとんどない大学を対象として、その策定支援を行うシステムの開発を行います。大学によっては、学部ごとに離れた場所にキャンパスを有する分散キャンパスやサテライトオフィスを有している場合が多く、Webサーバとデータベースを利用した効率的で実用的なBCPの策定運用を考慮したシステムの開発を目指します。
東日本大震災では多くの企業や市町村が機能不全に陥ったことから、大規模地震や津波を対象とした事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)策定の必要性が指摘されています。香川大学危機管理研究センターが行った香川県内企業400社を対象とした策定状況調査では、BCPを策定済み?策定中は、53社(40%)であり、2008年時点の36社(24%)を大きく上回っており、取り組みが進展しています。一方で、行政組織のBCPに対する取り組みは企業に比較して遅れており、早急な対策が必要です。
平成21年9月30日に四国建設業BCP懇談会、香川県部会を設立しました。9月以降、県内建設会社のBCP策定支援と講習会を実施しています。
香川県民のメンタルヘルスにかかわる実態を調査し、自殺予防に携わる人材の質、量を向上するため、養成講座のカリキュラム作成、教材開発等により持続可能な人材養成システムを平成22年度から2年間に渡り作成しました。事業終了後も自殺予防の学内教育体制を維持し、香川県における自殺予防への取り組みの継続発展に寄与する予定です。