2018年06月04日
平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、当機構の金田義行特任教授が海洋研究開発機構海洋工学センターの川口勝義氏、防災科学技術研究所地震津波火山ネットワークセンターの高橋成実氏とともに科学技術賞(開発部門)を受賞し、4月17日(火)に開催された授賞式に出席しました。
受賞した業績名と業績内容は以下の通りです。
【業績名】
地震津波観測監視システムの開発
【業績内容】
従来技術の海底観測システムでは、システムの一部に障害が発生すると、観測データが欠測する問題が発生していました。さらに修理作業の計画立案及び実施が容易でなく、かつ修理期間中は全システムを停止する必要がありました。また、観測システムの設置状態を高精度に制御することが難しかったため、使用可能な測器の種類に制限を設けざるをえず、さらに設置環境の調整による観測データの質の向上も困難でした。
本開発では、深海底において高信頼性、冗長性、保守性を確保できる、海底ケーブル式観測システムのシステムデザインを提案し、実現しました。
本開発により、送電?伝送システムの冗長構成の構築と海中でのシステム保守を実現しました。また、高精度な観測データ取得を可能にしたことにより、津波情報の多点同時リアルタイム観測を実現し、即時津波予測システムの構築を実現しました。
本成果は、海溝型巨大地震発生帯を抱える諸外国において導入が期待されており、台湾ではすでに導入が進んでいます。また、海底油田開発等でも類似の技術を検討しており、ブラジル等の石油関連企業で注目を集めています。さらに、観測データは研究機関や大学等へリアルタイムに配信がなされており、国や自治体による気象予報業務への活用に寄与しています。
左から高橋氏、金田特任教授、川口氏