長尾 ありがとうございました。千葉さんから非常に心強いご提言をいただきました。四経連さんには本学の教育にご参加いただいており本当にありがたいと思っております。これは継続して今後もご支援いただきたいと思っております。
学生がこの香川の地で定着するためには産業界の受け皿も必要となります。学生に四国には世界に冠たるメーカーがあるという情報をぜひ発信していただきたいと思います。
グローバル人材に関しては本学も力を入れております。「ネクストプログラム」という副専攻の中にグローバル人材育成プログラムというのがあり、英語と中国語に特化した教育をしています。英語履修の場合は半年から1年程度の留学をする学生が年間40名程度おり、毎年増えています。短期間プログラムなら実際に海を渡って修学してくる学生が年間約300名もいます。海外へ渡って、実際に自分が見て体験してくるというのが重要なのです。そういう人達を出発前と帰国後に面接すると全然違いますね。ずいぶん自信に満ちて、成長したなと感じます。彼らの中には地元四国で働きたいと希望している人も多いと聞き、徐々にそういう人材も輩出していけるのではないかと思っています。
田尾 英語と聞くとバリアーを感じるのは私だけではないと思うのですが、私自身ISO国際標準化機構のコンビーナをしていて感じるのは、基本的に英語は継続してやってないと、意思疎通が非常に難しいということです。英語を本当に話せるようになるには、最低1000時間は聞かなくてはいけないそうで、1日1時間聞いても3年はかかる計算です。だから大学に入って4年間毎日英語を聞き続けてようやく聞き取れて話せるようになる。時間はかかりますがそういうことを全員の学生さんにやっていただくと、語学力の底上げになると思います。
長尾 他のキャンパスでもいま、ネイティブ教員と学生が昼休みに話すミニイングリッシュカフェもできてきました。そういう意味では外国に向かって大胆に行動できる学生が増えたなと思っています。
田尾 今はアメリカの会社がソフトのプログラムを作る時に、日本に頼むよりはインドに頼むような時代なので、まず英語ができないと話になりません。グローバル人材のためには英語と中国語は本当に重要な言語になってくると思います。
研究と産業をつなぎ WIN-WINの関係へ
田尾 産総研は大学の基礎研究と産業界の実用化をつなぐ橋渡しに重点を置いている機関ですので、大学には私たちをぜひうまく利用していただきたいと思っています。
最近、産総研は大学との連携を深めるために、大学の中にオープンイノベーションラボラトリーという産総研の職員がいる研究室を作っています。2020年までに全国で10拠点作るということになっているのですが、私はひそかに地域版をぜひ作りたいと思っていて、それも香川大学と一緒にやるのが一番いいのではないかと思っているのです。
ここでは香川大学と産総研それぞれの強みを明確に出すのがキーポイントになると思います。連携することによって、日本のトップの研究をやるということを上手く打ち出していくということですね。香川大学には希少糖や植物ゲノム、K-MIXというトップ研究がありますが、実は産総研の四国センターも、ヘルスケアや、細胞を使った食品の機能性評価ということに非常に力を入れており、共通性があります。私どもはホタルの発光を使って食品の機能性を評価する日本有数の研究を行っていますし、ビル?ゲイツ財団の基金でマラリアの診断デバイスを作ったりもしています。大型予算を獲得するポテンシャルもありますので、それと香川大学の食品や健康の研究とうまく合体させてはどうでしょうか。
長尾 ありがとうございます。産総研さんには医学部の腸内フローラや、工学部の健康工学で共同研究を行っていただいていたりと、いろいろな意味でお世話になっています。
現在進行中のアイデアとしては水問題に取り組みたいと考えています。香川県は水不足もあって、水の問題がいつも頭から離れないわけですね。水問題以外にも、多くの課題を一緒に取り組んでいただきたいケースがありますので、産総研さんと連携できると非常にありがたいです。
田尾 産総研には約2300名の研究者がおりまして、2016年3月にロイター通信から発表された「世界で最もイノベーティブな研究機関」のランキングで世界7位に入っています。今までも四国センターでは、農学部と連携大学院の協定を結んできました。今後は香川大学の医農連携に産総研も加わり、対外的なアピールと予算獲得で貢献したいと願っています。
工学部とは今年から、学生さんの指導に産総研の研究員が副指導員として関わるということを始めています。工学部との連携もぜひ成功させたいと考えているところです。香川大学とはWin-Winの関係を作っていきたいですね。ぜひ長尾学長に新しいご提案をさせてください。
長尾 産総研さんが中に入って橋渡しをしていただくことで、本学の研究も枠を超えた大きなグループとして行えるようになりますね。それが大きな成果になれば大学としても非常にありがたい話です。ぜひ今後とも強い連携をよろしくお願いしたいと思います。